『焼売』って、熟字訓?
おはようございます。
久しぶりのブログ投稿です。
先日、生徒から質問メールが届きました。
その質問とは、
「焼売」は、熟語訓でしょうか?
というものです。
熟字訓とは、二字以上の漢熟語に、日本語の訓を当てて読むものです。訓読みなので、意味と漢字がリンクしています。ちなみに、当て字は『倶楽部(くらぶ)』『冗句(ジョーク)』といった外来語の音に漢字を当てたものです。結論からいうと、焼売は外来語(漢語)をそのまま使っている言葉です。
さて、小学校の六年間で、子どもたちは34個の『熟字訓』を習うことになっています。
『今日』『昨日』『明日』『今年』といった時系列に関係するものや、『母さん』『父さん』といった身近な人の呼び方、『七夕』『眼鏡』『時計』といった熟字訓も習います。
『時計』は、「とき(訓読み」と「けい(音読み)」の湯桶読み熟語かと思いきや、元々は『土圭(とけい)』と書いていました。日時計のことですね。『時計』は、明治以降に使われるようになった熟字訓です。
教室では『論理』『思考』『言語』の三分野をバランスよく学習するのですが、漢字学習では、教室独自に「漢字チャレンジ」という取り組みを通じて、漢字だけでなく「成立ち」「語源」「派生する慣用句・ことわざ」「その他の重要語彙」などを段階的に楽しく学んでいます。※「漢字チャレンジ」については、教室のYouTube動画をご覧ください。
生徒達には、漢字チャレンジで多くの熟字訓にも触れてもらいます。漢字の面白さ、意味と使い方を正しく身につけることで、論理力も思考力もグングン伸びるからです。
「焼売」に話を戻します。
この質問をくれた生徒が、漢字チャレンジに感化されたのも嬉しいのですが、
「蒸しているのに、なぜ『焼売』と書くの?」
「これも熟字訓なのかな?」
という思いに至ったことが、何よりも嬉しく素晴らしいことだと思いました。
元々、焼いていたのかな?
それとも、焼いて食べる餃子(ギョーザ)の仲間だからなのかな?
彼の頭の中を覗くことはできませんが、授業だけでなく、こうした生徒とのやり取りはいつも私を熱くさせてくれます。マー君、ありがとう!
前述のように『焼売』は熟字訓ではなく、漢語をそのまま日本語の中で使っている言葉です。
読みも漢語(中国語)のままで『シューマイ』。
標準中国語(北京語)では「シャオマイ」と発音しますが、広州や香港では広東語を使うので「シューマイ」と発音されています。この広東語の発音を外来語として日本語に取り入れているので、日本では漢字も読みも『焼売(シューマイ)』と使っています。
餃子(ギョーザ)、炒飯(チャーハン)、拉麺(ラーメン)も、焼売と同じ漢語をそのまま使っています。
言葉は生き物です。
ラーメンは、もはや和食だ!と、主張する人もいるでしょう。
異論はありません。
私は、日本のラーメン(または「ら~めん」「らあめん」)の語源が、漢語の『拉麺』にあるのだよと、生徒に正しく知ってもらい、その先は生徒自身が、自由に考えを広げて行けるようにサポートすることが大切だと考えています。
なぜなら
『拉麺』は漢語だから、ラーメンは中華料理だ。
と言葉や言葉の語源から、考えそのものを固定するのはどうかと思うからです。
言葉は、思考の道具です。
道具である以上、正しい使い方を身につけないと他の教科も頭打ちになります。
言語体系を、論理、思考、言語の各分野でバランスよく伸ばし身につけることが重要です。言語分野では、特に漢字の語源や成立ち、様々な語彙や慣用句を学年という枠にとらわれず、楽しく学ぶ中で、子どもたちの思考の幅を広がり、深まってゆく姿を目の当たりにしているからこその実感でもあります。
それでは次の投稿まで、暫しのご猶予をいただきます。
みらい学習教室 東大和中央教室 杉本和功
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