本好きにさせる「魔法の言葉」
『本好き、読書好きは「頭がいい」』これは、気のせいではなく事実であることが、東北大学の川島教授等の研究(2018年)で明らかになりました。(『最新脳科学でついにでた結論 -「本の読み方」で学力は決まる -』)
私たち「みらい塾」は研究機関ではありません。論理国語専門教室という実践機関です。
当然「本の読み方」に関しても指導しています。
でも、それは授業を受ける「お子さま」にではなく、お父様、お母様に行う
「本の読み方」の指導です。
正しくは
「本を読んだ後の接し方」についての指導をしています。
つまり「魔法の言葉」と、それを使うときの所作とタイミングの指導を行っているわけです。
ハッキリ申し上げます。
「本の読み方で学力は決まります」が、「読むだけでは学力は向上しない」そればかりか、少しずつ確実に「本離れ」「読書離れ」になっていきます。
それはなぜか?
読書を継続していると、徐々に語彙力が増し、表現力が豊かになっていきます。語彙の増加は、情報理解を促進し、表現力はコミュニケーション能力を飛躍的に上げてくれます。
つまり、読書習慣によって身につけられる能力は、認知、非認知能力双方に有効なのです。
それなのに、子どもの年齢が上がるにつれて「本離れ」「読書離れ」が進んでしまう。
それはなぜか?
思えば、半世紀以上前から若者の「本離れ」「読書離れ」を懸念する新聞記事や声を見聞きにするが、この傾向の拍車は増すばかり。
それはなぜか?
ここにフォーカスした取り組みでなければ、最初こそ「本好き」であっても、徐々に「読む」ことから得られる楽しさから離れていってしまいます。
どうして?
なぜ?
子どもに原因はありません。
そして、この疑問を解決できるのは「あなた」しかいません。
どういうこと?
なぜ「わたし」なの?
なぜなら、魔法の言葉は、子どもの親が使うからこそ「最大効果」を発揮するからです。魔法の言葉の効果は絶大ですが、一度使えば効果が長持ちするモノではありません。ある程度の期間、継続的にかけてあげる必要があります。
読書における脳の反応や、読書による様々な学習効果は「結果」から、その相関関係や因果関係を追いかければ一つの結論を導き出すことができます。こうした取り組みの研究を「脳科学」といいます。一方で「心」はどうでしょう。
脳の反応に「心」はどのように動くのでしょう。
ここにすべての「なぜ?」に対する「答え」と「魔法の言葉」の秘密があります。
最新の心理学研究は「脳」との深い関わりにも言及しています。
そこから「脳」と「心」の欲する傾向の一致を指摘する研究も多く発表されています。
それが「脳(=心)の三大欲求」についての研究です。
脳は、心は、大きな3つの欲求を持っている。
「つながりたい」「わかりたい」「自分でやりたい」の3つです。
・関係性:他者とつながりたいと欲する
・有能性:自分は「できる」「わかる」と欲する
・自律性:やらされているのではなく、自分からやっている感覚を欲する
この「関係性」「有能性」「自律性」の3つを『脳の三大欲求』または『心の三大欲求』といいます。
この三大欲求を満たしてあげることで、子どもは真の本好き、真の読書好きになっていきます。自学自習を進んで行い、得た語彙力で知見を広げ、広げた知見で新たな疑問を見出し、読むこと、学ぶことが楽しくて仕方なくなる。そういう子どもに育っていきます。
そして、そのような「真の本好き」「真の読書好き」な子どもにするための
「魔法の言葉」が
「どんなことが書いてあったの?」なのです。
【魔法の言葉を使うときの所作とタイミング 】
・読み聞かせの場合(幼児)
「ママ、これ読んでぇ~」が、伸びるチャンスです。可能な限り後回しにせず、笑顔で応じてあげてください。
そして、読み終わったら
「どんなお話だったかな?」と、ちょっと真顔で聞いてあげる。
これだけです。
途中まで読んであげた場合は、お話しの続きを「この続きは、どうなるのかな?」のように聞いてあげる(質問する)こと。
これが「魔法の言葉」と、所作とタイミングになります。
・読書の場合(児童)
本を読んでいる姿を見かけたら、読み終わった後に
「どんなことが書いてあったの?」
「どんな内容の本なの?」
と聞いてあげる。
子どもが面倒くさがったら「お母さんに教えて」とお願いしてみましょう。
これだけです。
最初こそ渋々応じてくれるでしょうけれども、繰り返すうちに抵抗なくスラスラ話してくれるようになります。
そして「そんなに聞いてくるのなら、今度は『〇〇〇』を読みたいから買ってよ」とか言い出したらしめたものです!
二つ返事でOKを出してあげてください。そして、重要なポイントは「マンガ」でもOKということなのです。実は、絵本から活字だけの本への移行を考えると、日本のマンガは非常に出来の良い教科書です。不安に思うかもしれませんが、暫くするとマンガでは物足りなくなって、活字本を欲するようになるのでご安心ください。
これが「魔法の言葉」と、所作とタイミングになります。
《共通事項=注意事項》
・決して感想を聞いてはいけません。「面白かった?」「楽しかった?」などは、折角の「芽」を摘むことになります。
・質問の後の、子どもの話を「真剣」に、時にうなづきながら「とことん聞いてあげる」ことが重要な所作です。
【「魔法の言葉」の根拠】
脳・心の三大欲求は「関係性」「有能性」「自律性」です。
誰かとつながり、人と話せることが「関係性」となり、その相手が唯一無二の親であればこそ効果が高いのです。
自分の言葉で相手を納得させられる経験は、読んだ本の内容を説明するという短期記憶のトレースですが、このトレースは子どもでなくても「できる感」を満足させます。暗記したセリフなどを暗唱するだけでも脳内ではセロトニンが爆上がりします。この幸福感が「有能性」です。大好きなママやパパが、真剣に自分の話を聞いてくれるという至福の感情こそが「有能性」となって心と脳を満足させてくれます。
読み聞かせをせがむ行動も、子どもが自分の興味から本を読むことも、子どもの自発的な行動です。その大きなきっかけが、幼児期の読み聞かせなのです。
幼児期の子どもが、絵本に好奇心を持つ理由は様々です。絵に心惹かれるということもあるでしょうし、本を読む人を見て興味が湧くこともあるでしょう。幼児期の子どもは語彙が少ないために、自分の言葉で説明できないだけで、幼児期の子どもは「知らないことを、知りたい」と欲しているのです。この感情こそが「自律性」です。やらされているのではなく、自分がしているという強い心の欲求を「読み聞かせ」から「読書」に誘導してあげられるのは、実は親しかいないのです。
だから、
「魔法の言葉」は、親が自分の子どもに使うからこそ「最大効果」を発揮するのです。
そして、
「魔法の言葉」は、親である大人の気づきがとても大切なのです。
知っていること、覚えたこと、心惹かれたこと、目を輝かせて話す子どもの脳の中はセロトニンで満たされています。そんな幸せな時間を、大好きな人と共有できるわけです。子どもの嬉しい、親も嬉しい、この瞬間が「本好き」「読書好き」を作ります。こうして身に付いた読書習慣は、読書離れとは縁遠い「一生涯続く習慣」となって子どもに根付いていきます。
読んで得た知識を整理する読み方、筆者、作者のメッセージに気づくための力(=読解力)となるためには、別の訓練が必要になりますが、少なくとも自学自習の習慣と、学ぶ楽しさという「土台」の「土作り」は、幼児、児童期の読書習慣にあります。その重要なカギを握っているのは、子どもに向き合う親だけなのです。
【最後に】
「土作り」からはじめる塾生もいます。
「土作り」はできていて「土台作り」から始める塾生もいます。
「土台」とは「学びの土台」です。この「学びの土台」を言い換えると「思考の言語化能力」です。
算数も、理科(科学・化学)も、音楽も、人工言語を使用した表現方法のひとつです。正しく、速く、丁寧に言語化できてこそ成果に結びつき、加えて「編集」できてこそ社会に有益な人材となって羽ばたけます。
数学を数式だけで考えている数学者はいません。一方、限られた語彙では〝人の複雑な感情〟を表現しきれません。
科学・化学も「仮説」を「証明」することで真理を明らかにしていきますが、物理公式も化学式も、それだけでは仮説すら立てられず、真理などを説明できません。
なぜなら、表現の最終形は必ず『抽象的』だからです。
日本人であれば日本語で考え、問題解決のための思考をイメージや理解の浅い言葉(=具体性に欠けた曖昧な表現)に留めるのではなく、思考の言語化によって複雑に処理し、編集する『読解力』をもって取り組むからこそ「納得」できる解(=納得解)を導き出せるのです。
英語で表現したければ、第一言語(母語)である日本語でしっかり納得のゆく理解ができてから翻訳すればよいのです。
英語力があれば、日本語での思考と平行して英語での表現も湧いて出てきます。もう、ワクワクが止まりません!
「思考の言語化」は、脳の中を文字で表現する作業です。しかし『読解力』が脆弱では疲れて嫌になってしまいます。
幼児、児童期の読書習慣を足掛かりとして、理系だとか文系だとかの垣根を、涼しい顔で飛び越える「転移学習」を可能にし、それらを軽々こなせる力(『読解力』)を身につけるとができる唯一の学習教科が「国語」なのです。
『本好き、読書好きは「頭がいい」』これは、気のせいではなく事実です。
真の本好き、真の読書好きは、理系大学に進んだ後も万葉集を好み、文系大学に進んだ後も微積分を楽しめています。
本好きが本離れしてしまうも、読書好きが読書離れするのも、真の本好き、真の読書好きではなく、単に一時的なマイブームに過ぎなかっただけなのです。
あなたのお子さまが、マイブームとしての本好きで終わるのか、真の本好きのどっちに傾向するのか…。
是非、今日から「魔法の言葉」をかけてみてあげてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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